Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第25回 14mm

 そのレンズは、史上最広角でした。

 ちょうどフィルムとデジタルの主流が入れ替わる時期に、そのレンズは発売されました。14mmF/2.8、N社の現行単焦点では最広角、レンズにはゴールドリングも入ります。当時としては、対角線魚眼より広角であり、画期的なレンズでした。APS-C規格で21mm相当で、その上でフルサイズ、フィルムに対応したレンズで、Dレンズ、MFも意識した造りです。MF時代にも無かったレンズで、「富士山」のビス穴基準もありました。

 この位のレンズは、非球面でなければレンズ設計は不可能で、フィルターも着けられないレンズ固定花形フードの内側では、カリフラワーの如くガラスが突き出たレンズ面に驚く、そんなレンズです。にもかかわらず思ったより小さな躯体に、合成皮革のソフトなキャップを被せ、通常時は保護します。ソフトケースも標準で、値段に見合った装備でした。

 後に、史上初の量産型非球面(ガラスモールド非球面)レンズの、18mmF/2.8が生産中止となり、より孤高の存在となり、現在も発売されますが、性能面ではズームの14-24mmF/2.8の方が上回り(値段もはるかに上回りますが)、存在が少し弱まっているレンズです。

 ただ、星野写真では他に代わるレンズが無く、結果ロングセラーとなっています。

 鉄道で、どれだけ使うか、と言うと、少々疑問です。多分、列車は豆粒となり、風景写真と同じようになってしまいます。「引き算」の写真では、情報が増えすぎ、収まりがつかないという感じがします。やはり、そのレンズに適した被写体が、あります。

 私のレンズコレクションで、これほど使用頻度が低いレンズも珍しいですが、「無ければ撮れない」写真もある訳で、長期遠征ではやはり持っていきます。

 特殊が故に、代わりも無く、現在も生き残っている、そういうレンズです。お値段も馬鹿になりませんが、機会があったら手にとって欲しいレンズです。

 それでは、次回をお楽しみに。