Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第13回 45mm

 それは、とりわけ小さく、とりわけ貧弱なMFレンズでした。

 普及版デジタル一眼が発売され、時代はデジタルへと大きな流れが出来ていく中、その流れに抗うかのようなカメラが発売されました。

 そのカメラはAFではなく、またマニュアル露出を原則、しかし利便性を考え絞り優先AEも出来る、「ハイブリッドシャッター」を搭載し、一時の注目を集めることとなりました。

 そのカメラに標準装備すべく、また他のAF機にも使用可能なようにCPU連動に対応した、45mmf/2.8が発売されました。歴史的にも、CPU連動MFレンズは、これと500mmf/4のみで、本当に過渡期のレンズです。

 ただ、光学的にはテッサー系で非常に薄く、ヘリコイドと絞り輪を除くと固定部分が2ミリと、余裕はほとんどありません。将来的にAF化するには、相当考えて設計しないと難しい、そんなレンズでした。

 非常に薄く、非常に小さく、非常に貧弱なレンズで、所有欲を満たすには、不十分な一本でした。しかし、厚みの無いレンズは昔から私の好みで、そのカメラは買いませんでしたが、レンズは買い、私の初めてのMFレンズとなりました。「準標準レンズ」と呼ばれる画角で、CPU連動もするので、以降のデジタルでも、その後手に入れることとなるクラシックMFカメラとも機械連動し、外観も一時代前のMFレンズそのままでしたが、私の所有欲を満たすものとなりました。

 やはり、セールスは困難であったらしく、暫くしてカタログを見ると、リストから無くなってしまい、同形の銀色鏡筒を手に入れることも出来ず、非常に残念でした。見た目のあまりの小ささに、巨艦大砲主義者には全く目にとまらない一本だったのでしょう。

 以降、同レンズは未だAFバージョンが出ず、やはりその設計自体行っていないのだなあ、と思います。AFが出来るのに、何故敢えてMFか、という問いにも、答えはありません。

 しかし、Dfに使用する、と考えると、これは絶大な効果があり、ピントも敢えて自分で操作するというカメラですので、それが元でMFレンズの市場も復活しつつあり、今こそ不良在庫となりかかっている旧式レンズ等を放出すれば、一気に会社の態勢立て直しも出来そうな気がしますが、どうでしょうか。オークションは、多くの旧在庫を必要としている、というところか。

 使用頻度はともかく、これは歴史的な一本です。再生産は100パーセントありませんが、私のお気に入りとして、今後も大切にしたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。