Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第2回 50mm#1

 そのレンズを手にしたとき、私はあまりに幼すぎた。

 初めて一眼レフを握ったのは、中学校の時。修学旅行で京都の社寺、および友人を撮るため、姉のお下がりの、Kマウントのフィルム一眼レフを手にしました。

 AF一眼レフ登場前、スプリットマイクロでピントを合わせる、当時一般的なスクリーンに、カメラはLED3灯式の露出計による絞り優先AEとX1/125のみ、レンズは50mmF/2の単焦点。コンパクトカメラでもズームは既に一般的で、不便なレンズに、子供ながら姉を恨んだものでした。その、焦点距離も理解出来ずに。

 間もなく、一眼レフもAF化の波が襲い、カメラ業界の地図は大きく塗り替えられていったものです。そんな中、アルバイトでFマウントAF機を買い、レンズも増え、単焦点、増して「特別な」焦点距離も理解しないまま、そして撮影技術も進歩しないまま、ズームレンズを使い続けました。

 転機となったのは、新しいFマウントを買ったとき。カッコは1つから、5つに増え、ピント情報も伝達するDレンズ対応になり、それに対応する保有レンズは、当時50mmF/1.4しかありませんでした。

 仕方が無いので、50mm1本だけで、旅行に行きました。単焦点で、非常に撮影は困難かと思いきや、逆に、縦横、前後で調整し、工夫して撮影する自分に気付きました。その時、最初の目覚めがあったのでした。言い方を変えると、「写っていた」が、この時「撮った」に変わったのです。以降、28mmや24mmも使える自分を見つけました。

 先回も書きましたが、鉄道写真界では、70-200mmF/2.8を使うのが普通で、F/4もケチ、増して他の焦点距離は、あまり見ません。勿論その中には、私の好きな85mmや、最近ツボになっている135mmも含まれていますが、編成写真には、もうちょっと広角が欲しい。そこで、私一人だけ50mmを使っている、ということが、最近多くなりました。

 同じレンズを使っていても技術の巧拙は出ますが、ましてレンズが違うのですから、結果は全く異なります。でも、それを私は納得します。同じところで、同じ写真を撮るだけなら、誰でも出来ます。しかし、同じ写真では、自分で「撮った」ものではありません。やはり、それは「写っている」でしょう。自分の技術を自慢出来るほどではありませんが、自分なりの考えで「撮る」ということをしなければ、進歩もありません。条件や制約があるからこそ、それを克服して技術にするのだと思います。

 それに気付いたとき、私は気付きました。「姉は、写真撮影が上手い。」ということに。何十年もかかってから。愕然としました。

 それでは、次回をお楽しみに。