Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第15回 50-500mm

 これも、純正の規格では、とても出せないレンズなのでしょう。

 現在、普通の人が買える値段で一番の望遠ズームは、150-600ミリf/5.6-6.3、値段は10万強~20万弱ですが、それが開発されるまでは、上限は500ミリ、各社ありましたが150~500ミリ、200~500ミリ、といった感じです。

 その中において、レンズメーカーS社は、50-500ミリを出し、現在もラインナップに入っています。望遠系高倍率ズームで、AFは使えなくなりますがテレコンにも対応しています。

 流石高倍率、重量は約3キロで、手持ちで長時間使うには堪えます。まあ、そこまでの望遠を常用する人は、飛行機か、動物か、ちょっと特殊な写真を撮る人で、腕力の問題を気にしない人達です。

 ただ、画像はやはり高倍率で、最新のコーティング技術では無く、手ブレ防止も入りますが、本来なら100万円出さなければ手に入らない焦点距離ですので、割り切った使い方が必要と思われます。また、テレコン使用時は、100ミリ以下は使えないとのことで、制約もあります。2倍テレコンで、1000ミリが手に入るので、それをもって良しとするのでしょう。実際、1000ミリなんて、通常使うことは無いでしょう。やはり使うなら、そこは「BIGMA]より、「エビフライ」でしょう。確かに、200万円コースですが。

 実際純正では、規格に合わない部分は切り捨てたズームが多く、24-70ミリなどはその代表例で、画像が規格に合わないのでそれ以外は使わないのです。この辺でも純正なら200-500ミリで、それ以上は画像が規格外となり、切り捨てたのでしょう。

 高倍率は、何本もレンズを持つことからは解放されますが、それぞれの画像は、やはりつぶしがきく程度で、固定焦点には勝てません。まあ、低倍率、固定焦点に回帰していくのでしょう。

 個別には、良いレンズとは思います。ただ、高倍率と割り切った使い方が必要だと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第14回 12-24mm

 そのレンズは、純正の規格では、多分出せないのでしょう。

 EFマウントには、フルサイズ用11ミリがあるとのことで、純正でレンズメーカーを上回るレンズを造りました(勿論、値段も相当でしょう)が、Fマウント純正フルサイズ用では14-24ミリf/2.8が最大、次いで16-35ミリf/4で、それ以上はレンズメーカー製となります。

 その代表例が12-24ミリf/4.5-5.6で、現行レンズは設計を改めた二代目になっています。レンズメーカーS社製で、その広角の割りには小さく収まっています。

 鉄ちゃんにしては広角好きなど、私はほとんど変人ですが、実は常にメインのカメラバッグに入っている一本で、博物館などの、狭い場所に押し込められた車両の全景を撮ったりするのには、これ以上は無い一本です。そのため、作例も多くあります。

 代表的なのは「転車台」で、これは、14ミリか12ミリでなければ普通は収まらず、遠く離れると訳が分からなくなり、結果使っています。ただ、正円形の筈が、偏心楕円になってしまうのは、ご愛嬌です。

 しかし、持参する機会が多いだけにトラブルも多く、バッグ内で前玉が外れて分解したことが2回、また京都鉄道博物館ではポケットから1メートル落下し、コンクリートの床に当たり大きな音を立て、レンズの事故喪失第1号となりかけましたが、打ち所が良かったのか、フードとキャップでショックを吸収したらしく、無傷で、故障もなく、現在に至ります。正に強運の一本で、縁起を担ぎたい位です。

 それもあって、勿論所持する2代目(Ⅱ)は、予備役で、あまり使っていません。事故喪失してからでも、遅くはないからです。

 光学性能は、フィルム時代の規格のものと割り切っていますので、フレア、ゴーストがバリバリでも、高倍率並みと割り切っています。レンズのコーティングも、やはり少し古いもので、ナノクリと比較するのは酷です。

 f/5.6か6.3位で、この焦点域をズームで出せば、ちょっと高くても、買う人はいそうですが、バカ売れする焦点距離でもなく、技術的満足以外では、あまり意味の無いものなのか。Fマウントでは、純正14ミリ、レンズメーカーT社は15ミリ、同じくK社は16ミリで止まっています。また、得られる画像も、メーカー規格に収まらない物なのでしょう。純正で出ないので、レンズメーカーが出す。分かりやすい構図です。

 因みに、現在は、その上位バージョン、12-24mmf/4が出たとのことで、現在手に入れる算段をしています。画像のバージョンアップを期待しますが、こちらは現物があるわけでもなく、机上の空論も無意味と思うので、また、そのうちに。

 それでは、次回をお楽しみに。

第13回 45mm

 それは、とりわけ小さく、とりわけ貧弱なMFレンズでした。

 普及版デジタル一眼が発売され、時代はデジタルへと大きな流れが出来ていく中、その流れに抗うかのようなカメラが発売されました。

 そのカメラはAFではなく、またマニュアル露出を原則、しかし利便性を考え絞り優先AEも出来る、「ハイブリッドシャッター」を搭載し、一時の注目を集めることとなりました。

 そのカメラに標準装備すべく、また他のAF機にも使用可能なようにCPU連動に対応した、45mmf/2.8が発売されました。歴史的にも、CPU連動MFレンズは、これと500mmf/4のみで、本当に過渡期のレンズです。

 ただ、光学的にはテッサー系で非常に薄く、ヘリコイドと絞り輪を除くと固定部分が2ミリと、余裕はほとんどありません。将来的にAF化するには、相当考えて設計しないと難しい、そんなレンズでした。

 非常に薄く、非常に小さく、非常に貧弱なレンズで、所有欲を満たすには、不十分な一本でした。しかし、厚みの無いレンズは昔から私の好みで、そのカメラは買いませんでしたが、レンズは買い、私の初めてのMFレンズとなりました。「準標準レンズ」と呼ばれる画角で、CPU連動もするので、以降のデジタルでも、その後手に入れることとなるクラシックMFカメラとも機械連動し、外観も一時代前のMFレンズそのままでしたが、私の所有欲を満たすものとなりました。

 やはり、セールスは困難であったらしく、暫くしてカタログを見ると、リストから無くなってしまい、同形の銀色鏡筒を手に入れることも出来ず、非常に残念でした。見た目のあまりの小ささに、巨艦大砲主義者には全く目にとまらない一本だったのでしょう。

 以降、同レンズは未だAFバージョンが出ず、やはりその設計自体行っていないのだなあ、と思います。AFが出来るのに、何故敢えてMFか、という問いにも、答えはありません。

 しかし、Dfに使用する、と考えると、これは絶大な効果があり、ピントも敢えて自分で操作するというカメラですので、それが元でMFレンズの市場も復活しつつあり、今こそ不良在庫となりかかっている旧式レンズ等を放出すれば、一気に会社の態勢立て直しも出来そうな気がしますが、どうでしょうか。オークションは、多くの旧在庫を必要としている、というところか。

 使用頻度はともかく、これは歴史的な一本です。再生産は100パーセントありませんが、私のお気に入りとして、今後も大切にしたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第12回 135mm

 それは、「かゆいところに手が届く」レンズでした。

 常用を大三元に出来ない、「仕事ではない」カメラマンは、でもナノクリが使いたいので24-120mmf/4を使います。そうすると、高倍率ズームと比べ、制約は大きくなります。広角側の余裕は出来たものの、望遠側は格段に落ち、望遠ズームの助けが必要となるのですが、現在のラインナップでは当分残念です。

 つまり、当分は、120ミリが上限であり、これを越える望遠は、何らかの手立てが必要です。高倍率ズームを使用しないという前提で使うなら、その上の単焦点が必要ということとなります。

 85ミリの上は105ミリ、その上は135、180、200となっていくのですが、180ミリのクラスに入らないものは、その下の135ミリということとなります。

 先日105mmf/1.4が出ましたが、従来は105と135はf/2、ボケ味を調節出来るDCレンズです。DCを鉄道写真に使うかどうかは別として、中望遠から本格的な望遠へと繋がる焦点距離、その微妙な立ち位置になります。

 そのうちの135ミリは、今のラインナップで、もうちょっと、というときに絶大な効果を発揮します。特に120ミリで足りないときに、その1本で写真が随分助かる、という経験を何度かしています。そのため、今ではお気に入りの1本になっています。

 105と135は通常ペアで持ち、広角f/4ズームとセットです。そして、常用レンズの使えないところで、「待ってました」と構えています。メインバッグには入りませんが、サブバッグが持てる場所では、必ずです。

 言えることは、いろいろな光学的設計の中、現在も単焦点として残るのは、やはり多くの人が使った焦点距離だからでしょう。その意味で、技術的にも、ニーズとしても残った、結論の焦点距離なのでしょう。

 こう考えると、やはり85、105、135、180をカバーする、70-200ミリが欲しい気はしますが、多分先ずはf/4からで、明るさに不満を感じるまでは、暫く我慢なのか。どちらにせよ、もう少し技術が上がるのを待ちたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第11回 70-300mm

 それは、初めての望遠レンズでした。

 今のように、高倍率ズームが一般的ではなかった頃、300ミリは、手の届かない距離でした。プロ用の300ミリf/2.8、一般的な300ミリf/4はありましたが、そこまで届くズームは、f/5.6レベルでもなかなか開発されませんでした。

 そこに、70-300ミリが、f/5.6-6.3という明るさながら開発され、早速飛びついたものです。当時の高倍率の上限は200ミリ、以遠をカバーするレンズとして、迷いはありませんでした。

 その後、デジタルでAPS-Cサイズ用18-200ミリを手に入れ、その補助にもそれを持っていったものです。フルサイズ450ミリ相当、効果は絶大でした。

 同様のレンズは、いわゆるサードパーティーでも製造され、同じメーカーでも何種類もラインナップがあるレンズとなりました。純正でも、今はモーターと手ブレ防止が入るようになり、進化が続いています。

 しかし、今は高倍率でも300ミリが入る時代、それに対して光学的メリットが大きいとも思われず、値の張るものの70-200ミリ、80-400ミリもあるため、余裕がある人はそちらを使用し、以前と比べ使う人が減っています。私も、持参する機会が減り、乾燥庫で出番を待つことが増えています。今では、500ミリもズームレンズの範疇に含まれ、300ミリのズームに新鮮味が減っているのも事実です。そんな中、やはり埋没しつつある、という感じがします。設計そのものより、位置づけの問題と思います。

 昔の思いもあり、また今更手放しても厳しい査定となることが分かることもあり、処分することは無いでしょう。高性能低倍率ズームの補助として、再び役に立つときは、来るのか?それまで、しばらくお休みということのようです。

 それでは、次回をお楽しみに。

第10回 58mm

 その焦点距離を聞いたとき、それを理解するのに、私はあまりにも幼かった。

 私の通っていた中学校には「写真部」があり、写真はあまり撮っていなかったらしく、文化祭の展示は、カメラ店でタダで貰ってきたカメラのカタログを並べるだけでした。そこで、FDマウントやFマウントは、「シャッター優先AE」があり、自分のKマウントのエントリー機はそれがなく、悔しい思いがしました。ちょうど「多分割測光」のはしりの時期で、Fマウントの「世界初」のオールインワンのカメラを欲しいと、子供ながら思っていました。

 そのメーカーの、レンズのリストに、名前の違う、58ミリという中途半端な焦点距離の、F1.2のため、法外な値段のレンズがありました。その命名理由も、その最大の特徴も知らずに。

 その名「ノクト」は、夜想曲ノクターン」から命名され、夜景を綺麗に撮るために、精研削非球面レンズなど当時としては究極の加工技術を施した、プロでも一呼吸置く究極の標準レンズで、普通の妻子持ちにはとても手が出ない逸品でした。増して、子供が買うなどと言うことは、絶対にあり得ない値段のレンズでした。

 しかし、マニュアルフォーカスレンズで、間もなくやって来たAF化の波の中、AF用に再設計されることもなく、いつの間にか製造が中止され、私もその名を忘れていました。

 それから30年、この58ミリが、再び設計されるなどということを、一体誰が考えたでしょうか?勿論リバイバルでも十分なセールスを期待出来ますが、現在可能な非球面技術も用い、最新の設計で新製された、新たな時代の標準レンズとなりました。自然に設計すると、一番小さくなってしまう焦点距離でもあり、「大きくない」という声も聞かれますが、従来の50ミリと比べても大きくなるよう設計され、光学性能も究極と思われ、当時のレンズが手に入らない以上、可能なら手に入れたい逸品でしょう。申し訳ないですが、妻子持ちには無理な値段で、有閑紳士になるのを待つしかありません。

  画像は、昼は勿論、夜景が美しく、ナノクリでフレア、ゴーストも低減され、勿論AF-S50mmシリーズも悪くはありませんが、やはり究極のレベルと言うべきでしょう。値段以外では、買って後悔はしないと思います。

 ただ、どうせやるなら、既存の50ミリにも、ナノクリは出来ないのか、とも思うのですが、シンデレラにそこまでは出来ないのか、それとも同士討ちになってしまうのでしょうか。それも覚悟で、今の倍の値段でも買う人はいるというのは、無理な考えなのでしょうか。正直、20万超のレンズは、職業カメラマン以外は普段使い出来ず、日常的にナノクリの威力を感じるのは、そういうレンズだと思うのですが。

 因みに、ノクト58mmF/1.2は、現在オークションでは大体30万前後で出ており、Dfが出てしまった今、クラシックレンズ市場に火が点いてしまい、今後暴騰の一途でしょう。その金額は、私のボーナスとドッコイドッコイ、他の楽しみを止めるわけにも行かず、やはり無理です。有閑紳士になったら、という夢ですね。

 それでは、次回をお楽しみに。

第9回 85mm

 師匠は、言った。「85ミリ、可愛い女の子を撮るレンズだね。」

 この焦点距離を「ポートレートの基本」というプロもいますが、やはり85ミリは一般に、女性を撮るためのレンズ、と言われます。某レンズメーカーは、「女性を撮る」専用の85ミリを、同社の名作90ミリがあっても製造します。たった僅か5ミリの差に、思い入れがあるのでしょう。

 色恋事はご無沙汰の私も、F/1.4Dがあり、F/1.8D、AF-S F/1.8Gで止めようと思ったときに、目の前に、AF-S F/1.4Gのキャンセルによる売約流れを見てしまい、思わず衝動で買ってしまい、しばらく支払いに苦しみました。しかし先日夜景に使用すると、点光源も綺麗で、流石ナノクリ、文句なしの画像でした。

 ただ20万超のレンズを普段使いや、増して雨天時に使うのは愚かなので、通常は乾燥庫の肥やし、僅か2/3段暗いだけで半値となるF/1.8シリーズが主力です。これを、鉄道写真に応用出来ないか、と考えるのが私です。

 「お立ち台」、則ち撮影ポイントによっては、ここは望遠が必要だったり、いや標準系でもイケる、等の解説はありますが、やはり自分の目と技術で確認したいところです。先ず50でも確かめ、次回は85で試したいなあ、と思う場所が何か所かあり、行く機会を窺っています。特に、リバーサルも未だ使う私は、フルサイズとの併用で、いくつかの楽しみもあります。正直、APS-Cでは、焦点距離読み替えがあり、思ったような成果が出ないのが悩みでした。

 まあ、私のカメラは、女性ではなく、鉄道を撮るための機械ですから、今更浮気はしませんが、この、中望遠の特徴を、今後十分に生かしたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。