Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第5回 シチサン写真

 いま、鉄道ファンではほぼ常識となった「シチサン写真」。この、語源を、皆さんご存じでしょうか。

 男性の髪型に、「シチサン分け」というのがあります。7割と3割に左右に分ける、本当に一般的な、ちょっとダサい位の男性の髪型です。これに、典型的な鉄道写真をなぞらえ、「シチサン写真」という名前がついたのです。だから、「ちょっとダサい鉄道写真」という意味もあるのです。

 何故知っているのか。そう、最初に使ったのが私だからです。私の鉄道ブログに使ったところ、あっという間に広がり、いまや常識となりました。「お立ち台」や、「地鉄」のように、皆さんに気に入って貰って光栄です。

 閑話休題。それでは、その、「シチサン写真」は、どうやって撮るか、ご存じでしょうか。

 一番簡単な方法は、「標準、斜め45度」です。フルサイズなら50ミリ、あるいはそれに近い焦点距離で、被写体に対し斜め45度で構えると、簡単に直方体を横7割、前3割で撮ることが出来ます。ただ、許容される焦点距離は、広角は28ミリ位、望遠は70か85ミリ位で、それ以上の広角、望遠では、ちょっと調節が必要です。

 やはり望遠では、画像の圧縮効果があるので、これに対しては、被写体に対する角度を小さくすることで対応します。一般的な70-200ミリでは、普通は被写体に対する角度は小さい筈です。

 また、角度が大きくなってしまった場合は、広角側に振ることである程度は対応出来ます。しかし、60度を超えると、かなり難しく、無理に超広角を使うと、車両が豆粒となり、記録に適しません。

 ただ、自分にとっての黄金角は、やはり自分で見つけるしかありません。フィルム時代のように、撮り直しの効かない時代でも無く、撮り直しは幾らでも出来ます。試して撮って、自分のお気に入りの角度、焦点距離を見つけると良いと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第4回 50mm#3

 ある人は、言った。「50ミリより長いのが望遠で、短いのが広角だ。」

 私は、言った。「50ミリの絞りを絞って広角風に、開いて望遠風に撮りたい。」

 あなたは、どちらが、技術が上だと思うでしょうか。

 確かに、50ミリより長いのは望遠レンズ、短いのは広角レンズです。でも、それだけでは当たり前すぎます。

 50ミリの視野角47°は、人間の視野とほぼ同じ、そのため標準レンズと言われます。そのため、ちょっと操作すると、変化が現れます。

 絞ると被写界深度が深くなり、結果広い範囲がピントが合って見えることから、それは、まるで広角レンズの世界です。また、絞りを開けば、被写界深度は浅くなり、目的物しか合わず、まるで望遠レンズのような風景が広がることとなります。中間なので、操作するとどちらの性格も出せるのです。

 この、基本でかつ奥深いレンズに興味を持つ人は少なく、現在のズーム万能の世界では、単焦点の意味すら知らない人もいます。大きさも貧弱で、サイズだけで買わないという人もいるのでしょう。確かに、巨艦大砲にはなりません。

 確かに、単焦点は不便ですが、不便が故に工夫して克服するのが技術で、まず50ミリ、続いてのレンズも、王道があるので、広角寄りか望遠寄りかは人によって違いますが、進化の方向があるでしょう。それは好みなので、「これだ!」というものではありません。ただ、一段違うだけでは、違いが分からない、ということもあるので、やはり2段か3段違うところなのでしょう。広角なら28ミリか24ミリだし、望遠なら105ミリ前後だと思います。極端に移動しても、面食らうだけでしょう。

 自分が望遠派か、広角派かは、ズームでもイメージは持ちますが、やはり単焦点で好きになるしかありません。それは、先ず標準を経験しないと、答えは出ないでしょう。私は、広角派なのでしょう。

 明るく、小さく、軽く、かつ安い50ミリは、所有欲を満たすには不十分ですが、技術を上げるには経験すべき登竜門であると思います。これ無しに、好きな焦点距離、などという話も出来ないでしょう。原始的な時代のようですが、通過儀礼である感じがします。是非、標準という単焦点を経験して欲しいと思います。まさに、「シンデレラ」なのです。私の、新たなるスタンダードが、生まれた感じがします。

 私は、自分が上級者だとは思いません。しかし、初心者でも無い。ちょっと、「中級者かなあ?」などと、思い上がることがあります。しかし、写真の精度はまだまだです。撮った写真が確実に写真になるよう、努力したいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第3回 50mm#2

 58mm、F/1.4Gのコメントには、こう書かれていました。

 「思ったほど大きくない。」と。

 50mmの原形、58mmは、自然な設計で、だいたい一番小さくなる焦点距離で、その発展形である50mmは、一般に貧弱な大きさになってしまいます。そこで、標準クラスで、巨艦大砲になりそうな、ノクトの生まれ変わりに期待したのでしょうが、他の焦点距離のF/1.4と比べても、やはり小さめになっています。

 Dレンズと比べても、AF-Sの50mmは、F/1.4も、F/1.8も、フード統一の観点から大きくなっていますが、それでもやはり小さい。見た目の大きい、高価そうなレンズを使用すれば、所有欲は満たせますが、50ミリは、それとは最も縁遠いレンズとなっています。そのため、見かけることが少なくなっています。

 そんな時に、「間違いだらけのデジタル一眼レフ選び」というメルマガがあり、読みました。その中に、「安くて、軽くて、明るいシンデレラレンズ」という記事があり、EFマウントの50mmF/1.8は、2万円もしない名作と書かれていました。Fマウントはそこまでは安くありませんが、多くの人が忘れつつあったレンズを、再度注目するきっかけとなりました。

 室内で、フラッシュを焚かず撮影するなら、他の選択はありません。また、レンズを1本しか持てないのなら、妥当な判断です。普通の人の視野とほぼ同じで、結果も自然なものです。大きさだけで、決めつけて良いものなのでしょうか。

 今一度、忘れかけていたこのレンズを、もう一度見直してみたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第2回 50mm#1

 そのレンズを手にしたとき、私はあまりに幼すぎた。

 初めて一眼レフを握ったのは、中学校の時。修学旅行で京都の社寺、および友人を撮るため、姉のお下がりの、Kマウントのフィルム一眼レフを手にしました。

 AF一眼レフ登場前、スプリットマイクロでピントを合わせる、当時一般的なスクリーンに、カメラはLED3灯式の露出計による絞り優先AEとX1/125のみ、レンズは50mmF/2の単焦点。コンパクトカメラでもズームは既に一般的で、不便なレンズに、子供ながら姉を恨んだものでした。その、焦点距離も理解出来ずに。

 間もなく、一眼レフもAF化の波が襲い、カメラ業界の地図は大きく塗り替えられていったものです。そんな中、アルバイトでFマウントAF機を買い、レンズも増え、単焦点、増して「特別な」焦点距離も理解しないまま、そして撮影技術も進歩しないまま、ズームレンズを使い続けました。

 転機となったのは、新しいFマウントを買ったとき。カッコは1つから、5つに増え、ピント情報も伝達するDレンズ対応になり、それに対応する保有レンズは、当時50mmF/1.4しかありませんでした。

 仕方が無いので、50mm1本だけで、旅行に行きました。単焦点で、非常に撮影は困難かと思いきや、逆に、縦横、前後で調整し、工夫して撮影する自分に気付きました。その時、最初の目覚めがあったのでした。言い方を変えると、「写っていた」が、この時「撮った」に変わったのです。以降、28mmや24mmも使える自分を見つけました。

 先回も書きましたが、鉄道写真界では、70-200mmF/2.8を使うのが普通で、F/4もケチ、増して他の焦点距離は、あまり見ません。勿論その中には、私の好きな85mmや、最近ツボになっている135mmも含まれていますが、編成写真には、もうちょっと広角が欲しい。そこで、私一人だけ50mmを使っている、ということが、最近多くなりました。

 同じレンズを使っていても技術の巧拙は出ますが、ましてレンズが違うのですから、結果は全く異なります。でも、それを私は納得します。同じところで、同じ写真を撮るだけなら、誰でも出来ます。しかし、同じ写真では、自分で「撮った」ものではありません。やはり、それは「写っている」でしょう。自分の技術を自慢出来るほどではありませんが、自分なりの考えで「撮る」ということをしなければ、進歩もありません。条件や制約があるからこそ、それを克服して技術にするのだと思います。

 それに気付いたとき、私は気付きました。「姉は、写真撮影が上手い。」ということに。何十年もかかってから。愕然としました。

 それでは、次回をお楽しみに。

第1回 70-200mm

 あるプロは、言いました。「f4で、良い」と。

 鉄道ファンの大半が使う、70-200mm。ほとんどの人は、f2.8です。レンズの三脚座では無く、カメラで三脚に固定しているために、2回もレンズの修理をした人もいましたが。

 そんな人は例外で、普通に使う人は、発売間もないFLを欲しいですが、これは電磁絞りのEレンズで、フィルムは放棄するか、それとも従前のGレンズにするか悩ましいです。しかし、その前に、f4を、使いこなせるのでしょうか。ステップは、あると思います。

 大三元に隠れて、f4シリーズは、地味な仕事に終始しています。しかし、レンズメーカーがパクるほどの設計で、侮りがたい一品です。三脚座別売という問題もありますが、手持ちにも十分な軽さで、決してひけは取らないと思うのですが、使っている人は、ほとんど見ません。一絞りの差で、10万円も違うのに、選択する人は少ないです。

 70-200mm f2.8のユーザーは、人垣の前に行けるときでも、頭越しに写すことが好きなようで、確かに所有欲は満たすでしょう。見た目の大きさ、金額も、プロ級のものです。それに対してf4は、見た目に貧弱で、巨艦大砲主義のオーナーには、意味を感じないものでしょう。

 しかし、実用性は十分で、雨天時を考えれば、20万ものレンズにはカビを生えさせるわけにはいかないので、妥当な判断と思います。

 所有欲と実用性、どちらが重要なのでしょうか。今一度、よく考えてみたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。