Tetsu Photography

鉄道とカメラの四方山話

第27回 80-400mm

 そのレンズは、史上初でした。

 普通の人に手が届く望遠ズームの上限が、70-300ミリであった頃、「史上初の手ブレ防止レンズ」として、このレンズはデビューしました、そう、80-400ミリF/4.5-5.6VRです。400ミリという長射程に対応する重量増で、手ブレが発生しやすくなることから想定される対応で、望遠レンズを中心に、現在は標準系まで搭載される、各社の「手ブレ防止」技術の発端となりました。

 現在は、当時解決出来なかった問題を解決すべく、ナノクリとスーパーEDレンズを使用した、次世代のVRⅡへとモデルチェンジし、旧レンズの製造は終了しています。

 手に入れたのは、旧モデルとなってから、中古で。売り物になる程で、カビ等は無く、ほぼ完璧な1本でした。しかし、既にサードパーティーの50-500ミリがあり、純正ということもあり大切に使用してきました。画像は、やはり純正の規格、確かなものですが、正直VRⅡも試してみたい気はします。

 望遠レンズの花形300ミリF/2.8に対し、400ミリF/2.8もありますが、値段は150万円位の金額になり、写真を職業としない人には、少々無理な金額です。そのため通常使う人は300ミリでもF/4で、もし400ミリがあればF/4よりはF/5.6が現実的な選択です。ズームとはいえ、その域まで行けるのは良いことです。

 そこで現在は、純正で200-500ミリF/5.6というレンズがありますが、フィルム機が使えないEレンズなのと、またサードパーティーでは同じF/5.6でも150-600ミリであり一枚上を行き、純正主義者以外にはちょっと大変なようです。今更Eレンズ対応のフィルム機、例えばF7を出しても、フィルムカメラの販売数から、設計は終わっているでしょうが採算見込みが無く、製造を期待する方が無理です。それでも生産することがあるN社ですが、今の状況からはそれはまずないでしょう。そこで、F6E位を、期待しておきましょう。

 昔は、レンズが2キロとは、何とも重いと思いましたが、カメラ1台であれば、今は3キロのレンズでも何でもないように思います。ただ、一日中では手に来てしまいますが。

 最後に、やはりN社は、旧式レンズでも堅い写真が撮れます。軽いノリのC社と違い、少々無骨ですが、何十年前のレンズも使え、そこはフォーマットを何度も変えた他社には真似が出来ない部分です。現有F6は、可倒式連動レバーに、斜めスプリットマイクロスクリーンで、完全MF仕様となり、特に深いN社のレンズ沼に、はまりつつあります。

 それでは、次回をお楽しみに。

第26回 55mm

 このレンズが、マイクロレンズの原点です。

 オークションで見かけ、一目で気に入り、落札した、55ミリ。規格は非Aiで、F5以降では可倒化改造が必須の、旧式なレンズです。その時代のカメラでは、基本的にはフォトミックは使用しないので、連動は気になりませんでした。

 しかし、等倍撮影にも対応する同レンズは、等倍には専用エクステンションチューブを必要とし、永く不満を持っていましたが、オークションで105ミリ用とセットで出ており、最後の機会と思い落札、現在は満足しています。長さは現行MFレンズと同じですが、富士山の連動が付いており、これが旧式のメリットです。フォトミックを使わなければ結果的には同じですが、現行(MF用)エクステンションチューブは可倒式では無いので、結果必要なアイテムでした。

 光学性能は、ナノクリの無い時代、コーティングも未発達の時代であり、永い年月でカビも生え、それなりのものです。焦点距離も「準標準」であり、この時代の標準レンズが手に入るまで、もうちょっと使ってみようと思います。

 鉄道用にマイクロは使用しませんが、標準として撮ってみたい、そんな1本です。現行の最新60ミリとも比較してみたいと思います。あとは、敢えて言えば105ミリか。

 それでは、次回をお楽しみに。

第25回 14mm

 そのレンズは、史上最広角でした。

 ちょうどフィルムとデジタルの主流が入れ替わる時期に、そのレンズは発売されました。14mmF/2.8、N社の現行単焦点では最広角、レンズにはゴールドリングも入ります。当時としては、対角線魚眼より広角であり、画期的なレンズでした。APS-C規格で21mm相当で、その上でフルサイズ、フィルムに対応したレンズで、Dレンズ、MFも意識した造りです。MF時代にも無かったレンズで、「富士山」のビス穴基準もありました。

 この位のレンズは、非球面でなければレンズ設計は不可能で、フィルターも着けられないレンズ固定花形フードの内側では、カリフラワーの如くガラスが突き出たレンズ面に驚く、そんなレンズです。にもかかわらず思ったより小さな躯体に、合成皮革のソフトなキャップを被せ、通常時は保護します。ソフトケースも標準で、値段に見合った装備でした。

 後に、史上初の量産型非球面(ガラスモールド非球面)レンズの、18mmF/2.8が生産中止となり、より孤高の存在となり、現在も発売されますが、性能面ではズームの14-24mmF/2.8の方が上回り(値段もはるかに上回りますが)、存在が少し弱まっているレンズです。

 ただ、星野写真では他に代わるレンズが無く、結果ロングセラーとなっています。

 鉄道で、どれだけ使うか、と言うと、少々疑問です。多分、列車は豆粒となり、風景写真と同じようになってしまいます。「引き算」の写真では、情報が増えすぎ、収まりがつかないという感じがします。やはり、そのレンズに適した被写体が、あります。

 私のレンズコレクションで、これほど使用頻度が低いレンズも珍しいですが、「無ければ撮れない」写真もある訳で、長期遠征ではやはり持っていきます。

 特殊が故に、代わりも無く、現在も生き残っている、そういうレンズです。お値段も馬鹿になりませんが、機会があったら手にとって欲しいレンズです。

 それでは、次回をお楽しみに。

第24回 28mm f/1.4

 間もなく、永く不在であった、28ミリf/1.4が、最新の設計で発売されます。これは、私には、痛恨のレンズです。

 現在、N社のレンズのラインナップは、Gレンズから電磁絞りのEレンズへと切り替わりつつあります。しかし、フィルムでAF化した時代には、MF時代のSレンズと、チップ入りのPレンズ、及び絞り輪付きのDレンズが主流で、F3以前のユーザーにも配慮されたものでした。

 当時、AFレンズでf/1.4があったのは、50ミリ、85ミリ、及び28ミリのみで、50と85は持っていたので、28ミリを買うべく貯金をしていました。

 そんな最中に、永く切望された、中級者用デジ一が発売されるとのことで、それまでほぼ全員がエントリー機を使っていたN社ユーザーは、中級者と思うほぼ全員が飛びつきました。結果、レンズは、後回しになってしまいました。

 しかし、それは、最初から多くのラインナップを用意していたC社に、大きく水をあけられる原因となり、結果「1強」時代を迎えることとなりました。それ以外のメーカーを使っていると、「まだ、お前、C社じゃないんだ。」という白い目で見られる時代で、結果他のメーカーは生産を縮小、売れ筋以外は生産中止、という事態となりました。その中に、28ミリf/1.4Dは含まれていました。そりゃそうでしょう、定価25万円のレンズは、バカバカ売れる訳ありません、たまに売れるだけでは生産中止はやむなしと思いますが、結果購入の機会を失い、永く悔やまれる結果となりました。

 前にも書きましたが、28ミリは、広角でも王道の焦点距離で、最初に薦められる焦点距離でもあります。その王道のレンズが、永く不在だったのです。正直、遅きに失した感じはしますが、やっと本気になってくれたので、少し安心しています。

 しかし、Eレンズは、新しいデジ一のみ対応しているレンズで、Fシリーズ最新のF6でも使えません。古いのは、やはりオークションを探さないと出てこないのでしょう。

 ただ、かつては成長産業であったカメラも、スマホにやられたコンデジほどではありませんが、世界的に縮小基調、今後の展望はあまり明るくありません。やはり、スマホでは撮れない写真を撮らねば、カメラの価値はありません。それを、肝に銘じておきます。

 それでは、次回をお楽しみに。

第23回 8-15mm

 暫く投稿を休んでいるうちに、ビッグニュースが入ってきました。「8~15mmズーム魚眼レンズ」発売とのことです。

 MF時代、N社の最広角は6ミリ、キノコ形の超巨大レンズで、前を向いても後まで写る円周魚眼レンズでしたが、MFレンズの整理、及びその後のAF化で後継も無く終わりました。

 その後、AFレンズでの最広角は16ミリ対角線魚眼で、デジカメ登場時に14ミリが登場、DX21ミリ代用での使用も考えられたものとなっています。以降ズームも14ミリが最広角、それが永く続いていました。

 一方レンズメーカーでは、S社が対角線魚眼15ミリと、円周魚眼8ミリ単焦点を出し、単焦点ではどちらにするか、という検討をするところでした。実際の写真でも、15や16の対角線魚眼ならある程度の実用性がありますが、円周魚眼は使用する対象が限られ、セールスより技術が上回ったレンズ、普通なら購入を尻込みするでしょう。勿論私は持っていますが、使用頻度は非常に低いものです。

 しかし、「マグロ」(1200~1700ミリ、野球場でバックスクリーンからバッテリーが縦でも横でもノートリで写せるズームレンズ、現在は生産していない)でもそうですが、N社はスイッチ切り替えを好まず、ズームで連続的に変換出来るレンズを造ります。そこで、フルサイズで円周から対角線まで連続的に変更出来るズームという設計となり、このレンズの登場となりました。いかにもN社らしいズームです。

 一方APS-Cサイズでは、K社が同様のズームを出しており、それとの競合は無いようです。ただ、連続的に変更出来るズームの力は大きく、期待されるものです。

 多分、私は手に入れると思いますが、技術的満足はともかく、それだけのセールスは、難しくも思います。このズームで開拓されるファン層は見込まれますが、この焦点距離を理解出来る人が、どの位いるのか。マクロズーム(今ならば、オークションでも出ていれば欲しいですが)のように、いつの間にか無くなっていた、とならないよう願うのみです。そのためには、やはり「買う」という行為が必要です。あるうちに、買っておきたいと思います。

 それでは、次回をお楽しみに。

第22回 14-24mm

 それは、驚異のズームレンズでした。

 「大三元」と呼ばれるのは、標準の24-70ミリ、望遠の70-200ミリ、そして、広角の14-24ミリの、3つのF2.8ズームレンズです。今年創業100年を迎えるN社の、100周年記念販売品に、カメラと併せ、大三元の特別セットが用意されます。それほど、この3本は他のレンズとは格が違い、重きをなしています。

 その、14-24ミリは、設計では不可能なほどの非球面レンズを必要とし、断念も検討されるほどだったそうですが、数々の難問をクリアし、登場しました。

 その性能は驚異的なもので、最広角域14ミリにおいて、単焦点14ミリF2.8の性能を上回るという、通常はあり得ないほどのレンズとなり、設計と併せ驚異的なレンズとなっています。

 先日も、同レンズを、レンズメーカーの12-24ミリ2世代と比較しながら、使いました。

 基本的に、対角線魚眼の16ミリを上回る超超広角は、一般的には巨大なものを写す、及び広範囲を写すことが多いですが、もう一つ、あまり知られていない使用法があります。

 それは、「狭い室内に押し込められた物の全景を、直近で撮る」です。

 一般的には、全景はある程度の距離を置いて撮るものですが、狭い室内では、離れる距離を置くことが出来ず、直近で撮らねばなりません。それには、このような超超広角が必要なのです。確かに、狭い室内に押し込められるのは、悲しい野生の虎ですが、それを解放する唯一の手段が、このレンズなのです。

 確かに、レンズメーカーの12ミリには少々範囲が負けますが、絞り一段明るく、しかもコーティングが完璧で、別人が撮ったぐらい写真も違いました。その位、性能的に圧倒的なレンズなのです。N社の目指す写真が、そこにあります。

 ただ、正直言うと、C社は11ミリを造り(これは法外な値段で、超望遠レンズ並みの値段でしたが)、それを上回れとはいいませんが、AF動作ギリギリの明るさF5.6か6.3位で、レンズメーカーに対抗するようなレンズは、技術力からして設計出来そうな気がしますが、どうなんでしょうか。開発検討さえ行っていないのか、それとも少し状況が悪く、そこまで余裕が無いのか。レンズ設計の余力こそが、メーカーの体力でもあり、この辺は手を抜いて欲しくないですね。頑張って欲しいです。

 それでは、次回をお楽しみに。

第21回 24-120mm

 それは、APS-Cユーザーでも、常用する人がいるレンズです。

 かつて、フィルムからデジタルへとカメラの方向性が大きく変わっていく時代に、まるでその流れに抗うかのように、おそらく最後のフィルム機となる、フラッグシップ機が発売されました。そのカメラは、10年以上経った現在も、そのまま継続して発売しています。

 そのカメラに常用するべく開発されたのが、初代の24-120mmでした。ただF値は固定では無く、3.8から4.5程度の変動があったと記憶します。普通のズームのようですが、しかしそれは手ブレ防止付きで普通にはならない。今思えば常用域で手ブレ防止は画期的で、暗さをカバーするには十分です。ただ、光学性能はフィルム用のそれであったようで、現在は発売されていません。

 更にデジタル化が進み、レンズもそれに対応した性能が求められるようになると、同レンズも刷新され、手ブレ防止はそのままに、デジタル対応コートを施し、F値も4に固定、デジタル用のズームに進化しました。それまでがある意味「味」のある結像であったのに対し、その辺は修正され、性能的には別物との評価もあったようです。それだからでは無いですが、24-70mmの代理人として、私の常用レンズとなっています。

 フルサイズですから当然と言えば当然の選択ですが、一部にAPS-Cサイズユーザーでも常用する人がいるとのこと。フィルム時代のレンズも流用出来るN社のカメラのこと(C社では、一部の高級レンズを除きそれはできない)、不便さを引きずりながら使う人も多いです。ただ、正直言ってAPS-Cでは、18ミリは無いと画像が窮屈になり、撮影が困難だと思います。そこは、たとえレンズメーカーに堕落しても、専用レンズを使った方が良いと思いますが、カメラがフラッグシップ機なのに、常用がサードパーティーというのも、恥ずかしい感じがします。高画素フルサイズを使う今、やはり高倍率では光学的に性能を十分に発揮出来ないと思うので、その辺からも当然か。24-70mmほど劇的な変化は感じませんが、それも常用だからかなあ、と思います。

 結論。「カメラ本体に、相応のレンズを使うこと。」でなければ、性能は十分に発揮出来ません。

 それでは、次回をお楽しみに。